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北村小松「火 後篇」 昭和16年連載の少年向けミリタリーノベルの復刻本

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新書判/PPフルカラーカバー装/212ページ/厚さ12mm/190g 2013年冬コミの新刊、残部僅少  SF作家・小松左京が少年期に愛読し「原子爆弾という言葉はこの作品で知った」と語った昭和16年「少国民新聞(現:毎日小学生新聞)」連載小説。  もともと松竹所属の映画脚本家で恋愛小説なども手掛けていた北村は、当時の時流もあって戦意高揚小説、軍事科学小説を多数手掛けるようになっていました。  本作は子供むけ新聞に1年間にわたって連載されたものですが、当初――前篇にあたる部分は今でいうミステリの趣があり、各地で起きる奇妙な現象の原因を探って主人公の少年が活躍します。  ところが主人公の少年に助力する青年が物語の半ば頃から登場すると、愛国精神を説きながら主人公そっちのけで出張るようになり、大人のスパイアクションを繰り広げるようになります。さすがに連載当時の「小国民新聞」読者投稿欄に女子の読者から「女の子むけの小説も載せてください」と投書が載るようになり、編集部も「火は男女ともに楽しまれる作品です」と苦しい言い訳をするほどでしたが、昭和16年はこのような投書でも掲載される程度には「表現の自由」があった時代でした。  いっぽう当時の元気な軍国少年たちには評判も良く、翌年発行された単行本はロングヒット作品となりましたが、戦後は北村が戦時協力者として一時公職追放を受けたこと、内容の難等もあって復刊・再評価の機会に恵まれず、国会図書館にも単行本の所蔵が無いため容易に再読ができない状態にありました。  先の小松左京の回想も、記憶違いを含んでいるのですが、本書が読み返せないために起きた誤解でもあります。  本書はこの伝説的スパイ小説「火」を、飯塚羚児による連載当時の挿絵および単行本版カラーイラストとともに、物語後半である第182回から第323回の最終回までを復刻(戦前の単行本・下巻とほぼ同一ですが、展開の区切りの都合で下巻冒頭の1章分は前篇側に前倒ししてあります)。  また、この連載の終了直後に北村は二度目の海軍報道班員として南方諸島へ半年間従軍、帰国したばかりの昭和17年7月に大政翼賛会の依頼を受けて“日常生活におけるスパイ防止”に関する講話「戦争と世相」を行なっています。本書では「火」連載当時の世相を知りうる重要な資料であると考えて、この講演の内容も併せて収録しました。  リアルタイム日米開戦前夜の少年世界の空気を感じつつ、また娯楽作品としての面白さの再評価の一助になれば幸いです。

新書判/PPフルカラーカバー装/212ページ/厚さ12mm/190g 2013年冬コミの新刊、残部僅少  SF作家・小松左京が少年期に愛読し「原子爆弾という言葉はこの作品で知った」と語った昭和16年「少国民新聞(現:毎日小学生新聞)」連載小説。  もともと松竹所属の映画脚本家で恋愛小説なども手掛けていた北村は、当時の時流もあって戦意高揚小説、軍事科学小説を多数手掛けるようになっていました。  本作は子供むけ新聞に1年間にわたって連載されたものですが、当初――前篇にあたる部分は今でいうミステリの趣があり、各地で起きる奇妙な現象の原因を探って主人公の少年が活躍します。  ところが主人公の少年に助力する青年が物語の半ば頃から登場すると、愛国精神を説きながら主人公そっちのけで出張るようになり、大人のスパイアクションを繰り広げるようになります。さすがに連載当時の「小国民新聞」読者投稿欄に女子の読者から「女の子むけの小説も載せてください」と投書が載るようになり、編集部も「火は男女ともに楽しまれる作品です」と苦しい言い訳をするほどでしたが、昭和16年はこのような投書でも掲載される程度には「表現の自由」があった時代でした。  いっぽう当時の元気な軍国少年たちには評判も良く、翌年発行された単行本はロングヒット作品となりましたが、戦後は北村が戦時協力者として一時公職追放を受けたこと、内容の難等もあって復刊・再評価の機会に恵まれず、国会図書館にも単行本の所蔵が無いため容易に再読ができない状態にありました。  先の小松左京の回想も、記憶違いを含んでいるのですが、本書が読み返せないために起きた誤解でもあります。  本書はこの伝説的スパイ小説「火」を、飯塚羚児による連載当時の挿絵および単行本版カラーイラストとともに、物語後半である第182回から第323回の最終回までを復刻(戦前の単行本・下巻とほぼ同一ですが、展開の区切りの都合で下巻冒頭の1章分は前篇側に前倒ししてあります)。  また、この連載の終了直後に北村は二度目の海軍報道班員として南方諸島へ半年間従軍、帰国したばかりの昭和17年7月に大政翼賛会の依頼を受けて“日常生活におけるスパイ防止”に関する講話「戦争と世相」を行なっています。本書では「火」連載当時の世相を知りうる重要な資料であると考えて、この講演の内容も併せて収録しました。  リアルタイム日米開戦前夜の少年世界の空気を感じつつ、また娯楽作品としての面白さの再評価の一助になれば幸いです。